2008.07.13 おもいでエマノン
好きな漫画家、その中で寡作作家と呼ばれる人を3人あげるとしたら、
五十嵐大介さん、やまだないとさん、そしてこの鶴田謙二さん。
なにせ前作『Forget-me-not』から5年たってるというのがすごい。
私自身ものすごく好きで漫画も何度も読み返すんですけど、自信を持って
人にお勧め出来るかというとちょっと微妙でした。
淡々とお話が進んでいくし、山場とかもあんまり
ないんですよね。まあそれが鶴田さんの漫画の持ち味なんですが。
会話と会話の間に2〜3コマくらい無音のコマを挟んだりの独特の
間が持ち味だと思ってるんですが、それがちょっと人を選ぶというか。
そしてこのおもいでエマノン、
本屋で見かけてついつい買ってしまったのですが
これがすごくいい!!
まず絵が5年前より全然上手い!元々絵の上手い人なのになんでこんなに
さらに上手くなってんの?しかも梶尾真治さんというSF界でも
有名な方の原作を漫画にしたものですので、鶴田漫画にしては珍しく
ストーリーも面白い(笑)ストーリー展開と、鶴田さんの漫画の『間』が
ものすごくしっくりハマってます。コラボレーション作品というのは
色々あるけれど、これだけ大成功と思えるものも珍しい。
ストーリーも絵もどちらも魅力的で、これが面白くない訳が無い。
お互いがお互いを引き立て合ってる。
1+1が3にも4にもなってる珍しい作品だと思います。
どれだけ絵が良いかは実物をみてもらうのが一番なのですが、さすがに
スキャンするのははばかられるので、せめてアマゾンの大きな絵で(笑)
- 14:18:36|
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2008.04.21 3月のライオンとめぞん一刻
今更ながら、羽海野チカさんの新作の感想みたいなものを。
1巻なので、まだまだ登場人物のお披露目といったところ。
これから話がどう転ぶかも分からないので感想も何もないのですが、
仏様のゴハンにカレーをかけるところが好きです。
色々個性的な人達が登場しますが、私が特に惹かれたのが
主人公と関わっていく3姉妹の長女、あかりさん。この人からはどことなく
『めぞん一刻』の管理人さん(響子さん)に似てるなという印象を受けました。
美人で家庭的、世話焼きで働き者なところ。
そして特に服の印象が。何て言うんですか?ノースリーブで
割と体のラインに沿った、背中をファスナーでとめるタイプの、
ウェストのキュッとした、ぴったりとした形のワンピース?
ほっそりとした女性キャラが多かった羽海野さんの作品には珍しく
かなりのグラマラスな方です(笑)胸の大きさは母性の象徴でしょうか?
二の腕と胸とワンピースにエプロン、昭和の美人といった感じの
家庭的というかむしろ所帯臭い(笑)お姉さんっぽさ。
結構若いんでしょうが、年齢に比べて大人っぽいところが
どことなく管理人さんを思い出させるのです。
『めぞん一刻』での管理人さんの姉さん女房的な大人っぽさは、
話が進んで行くうちに、実は彼女は未亡人だったという伏線に繋がるのですが、
一家の大黒柱としてお母さん的存在として頑張るあかりさんにもほんの少し
見える影の部分。これからどんな話になっていくのか、ちょっと楽しみです。
いきなりですが、私は長編マンガよりも短編や中編マンガが好き。
きちっと話を終わらせてくれるマンガが好きなのです。
ハチクロがだらだらと続かずに10巻でスパッときれいに終わらせてくれた
それだけで私の中での羽海野さんの漫画家ランクは凄い事になってます(笑)
そして同様に終わりの見事さで思い出すのが、これまた『めぞん一刻』です。
高橋留美子さんは所謂マンガの天才なので、『うる星やつら』や
『らんま1/2』の様に、続けようと思えば30巻でも40巻でも続ける事が
できると思うのですが、めぞん一刻は確か全15巻かな?
割と引っぱる事無く終わらせています。私が持ってるのが
文庫版(全10巻)なのでハチクロと同じですね。というか
今これを書いていて、あの内容の濃さでたった15巻だったのか!と
改めてびっくりしたのですが(笑)
響子さんと五代君、三鷹さんという、マンガ内の言葉を借りれば
『ぬるま湯みたいな三角関係』がいつまでも続く事無く、後半から
クライマックスにかけての怒濤の展開とそれぞれのキャラの幕の降ろし方、
ラスト2〜3話どころじゃなくラスト2〜3巻の全ての話が傑作です。
有名なプロポーズのシーンに限らず、おばあちゃんの指輪の話や
惣一郎さんの墓参りのシーンなんて何10回読んでも感動ものです!
これだけは、未読の方には是非読んでもらいたい作品です!
なんか好きなものの話なので、とんでもなく長文になってしまいました^^;
- 01:54:51|
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2008.01.16 「この世界の片隅に」を読んだ
出たら迷わず買う、こうの史代さんの新作が出てました。
「夕凪の街 桜の国」では戦後と現代のヒロシマと、それに関わる人々を
描いていましたが、今回は戦前、戦中を題材にしたお話。
広島で生まれ育ち、絵を描く事が大好きなすず。
ちょっとだけ抜けてて幼さの残る彼女ですが、ある日面識も無い、
1人の青年から求婚され、呉の街に嫁ぐ事になります。
新しい土地、新しい環境、新しい家族で生活を始めることになるというお話です。
あいかわらずこうのさんの漫画は、しっとりとしてやさしくて
1話8ページという短いページ数の中でもオチはぱしっと決める、
なんというかとても安心して浸る事が出来る
他にはなかなかない漫画だと思います。
こうのさんの漫画には、まるで映画的なカメラワークで、
ドラマティックに話が進んでいくパターンと、日常のちょっとした生活を
(肉じゃがの作り方とか)漫画的に面白おかしく紹介するパターンが
あると思うのですが、今回はそれを交互に使い分けている感じがしました。
当時の隣組とか結婚の様子や、限られた材料で献立を考える場面とか
これが教科書に載ってたらすごく良いのにと思う位おもしろい!
また、昔であれ、戦時中であれ、どんな世の中でも
人は生活をしてて笑ったり泣いたりしていたんだなあ、という
当たり前なんですがふと忘れがちになる事を再確認させてくれる
貴重な漫画だと思います。
全編やさしくて落ち着いた雰囲気の中、私もまったりした気持ちで
読み進めていたのですが、途中でふと「ある事」が気になって、
目次を見返してみたんですね。
物語自体は、1話8ページの小編からなっているんですが、各タイトルは
それぞれ「19年2月」「19年3月」みたいに時系列的に並んでいます。
この本の最後の回は「19年7月」。ちなみにこの本は上巻です。
もしかしたら下巻はここから戦争が終結する
「20年8月」に向けたお話になるんじゃないか?と
というよりこの漫画の舞台は呉と広島なわけで、そうなると
原爆の被害という事実を避ける事ができないわけで。この幸せなお話が
もし悲しい方向に向かったらと思うと、胸が痛くなる自分がいるわけで。
でもこうのさんは自分の作品には責任を持つ方ですから
もしかしたら相当な覚悟でこのお話を描き始めたのかもしれません。
いや実際分かりませんよ?単行本でしか読んでないですし。
で、いつもは連載は追わない私ですが、
余りに気になって気になって、今発売中の雑誌に載っている
最新の話を読んでしまいました・・・
私の予想が当たっていたか外れていたのかはここには書きませんが、
一体どんな下巻になるのか、先の見えない漫画になった事は確かです。
- 02:14:17|
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2007.12.22 これが天才か
夏頃から毎月のペースで、「萩尾望都パーフェクトセレクション」という
萩尾望都さんの主要作品の新装版が発売されています。それがとても素晴らしいので
なんとかしてその凄さを伝えられないものかと、何ヶ月もあれこれ考えていたのですが
ムリです。私の拙い文章ではムリでした(笑)
ちょっとだけ前置きですが、30年程前の少女漫画界に、それまでの「コマ中に
お花畑が咲いている」様な少女マンガとは一線を画す繊細な感情表現、
歴史や哲学、SF等にも深い造詣を持ち、画面構成も斬新、そんな実力を持った
まさしく「キラ星」と言われるにふさわしい程の才能溢れる人達
(萩尾望都さん、竹宮惠子さん、大島弓子さん、池田理代子さん、山岸凉子さん等々、
今でも第一線級な方々なのが恐ろしいですが)が同時期に次々と現れ、その方達が皆
昭和24年前後生まれだったので、『花の24年組』と言われてるんですね。
で、そんな24年組の内の1人、萩尾さんの新装版です。
私も一応絵を描く職業の隅っこにいるせいか、漫画を読む時は、内容よりも、作者側の
立場になって読んでいる事が多いんですね。このコマのこういう流れで最後の決めゴマに
持っていきたいんだな、みたいな、分析をするような読み方というか。
でも、萩尾さんの作品は、これが分からないんですよ。
誰かが言っていたんですが、「漫画の面白さはコマ割りで決まる」と。
人気の漫画家さんになると、下書きの段階でもう面白いって言いますからね。
萩尾さんの作品の面白さは、絵が奇麗なのはもちろんの事(さらっとかいた様な
絵でもデッサン完璧ですからね!読みながら「うまいな!」「これもうまいな!」と
もだえてしまいました。)コマ割りの見事さにあると思うんですよ。
1コマ目→2コマ目→3コマ目みたいに、コマの流れが時間の経過を表すものだけでは
なくて、感情や観念的なものがいっしょくたになって1枚の原稿用紙の上に焼き付け
られているような、コマの1つ1つではなく、ページ全体を眺めさせる感じ。ああ、
コマって別に順番に読まなくてもいいんだ!と、今更ながら目から鱗が落ちました。
ストーリーも起→承→転→結みたいにはっきりした感じではなく、色んな細かい
エピソードが壊れそうなくらい繊っっっっっっ細なバランスで繋がりあって
気付けば大きな流れが出来上がっていた様な、
分っかんないんですよホント。どう表現したらいいのか(笑)
そして果たしてこれが推敲に推敲を重ねた計算に基づいたものなのか、それとも
感覚的にぱっとひらめきで思い付くものなのか、多分同時にやってるんでしょうね。
読んでみると、「マンガってこんな事ができるんだ!」と気付かされる事請け合いです。
映画にもアニメにも小説にも真似出来ない、マンガでしか出来ない表現手法が
この中にはあります。先月、今月と発売された「ポーの一族」、エドガーとアラン、
そしてエドガーの妹メリーベルという3人を中心とした、バンパネラの何百年にも渡る
お話なのですが、私はこれが萩尾さんの作品の中では一番好きで、
読みながら何回も「すごい!」「何でこんなの描けるんだ!?」と身悶えてましたが、
読み終えて、そういやこれ30年以上も前の作品だったという事を思い出して
ガクゼンとしました(笑)

- 22:35:41|
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2007.10.31 漂流教室すごい
【UMEZZ PERFECTION! 8】漂流教室 第1集
これすげえ!
言わずとしれた楳図センセの漂流教室がついにパーフェクションに登場です。
このシリーズの装幀デザインは祖父江慎さんが行っていまして、毎回本の
内容に勝るとも劣らない面白装幀なのですが、今回のテーマは
『バイブル…分断された絆』だそうです(オフィシャルHPより)
まずびっくりするのが、国語辞典の様な厚さと、表紙背表紙に限らず小口まで
6面全部真っ赤っかだという事!そこに子供たちの絵が印刷されてるし!
表紙タイトルに押し加工されているわ、紙質がページによって違うわ、
目次が折れ曲がった様なデザインになってるわ、遊び心満載です。1800円と
少しお高いですが、息をもつかせない、めくるめく展開に引き込まれること
請け合いです。映画を1本見たと思えば全く損は無いと思います。
これから3ヶ月連続で発売されるそうで、とても楽しみです。




- 21:44:55|
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